【皮膚掻痒症】かゆみ
湿疹があればステロイド外用だが,皮疹がなく痒みを訴える場合にステロイド外用,抗アレルギー剤内服が効かない場合がある。蕁麻疹のようなヒスタミン依存性痒みであれば抗アレルギー剤が効くが,ヒスタミン非依存性痒みだと難治性のことが多い。
最近はAD関連でIL-4, IL-13, IL-31といったサイトカインが知られるようになり,抗体製剤で抑えると掻痒も抑えられることを多く実感する。
以前より痒みは感覚神経のC線維が伝達すると言われており,こういった神経性の掻痒の抑え方も実感がわかない。
中枢神経の掻痒としてオピオイドとの関連があり,μオピオイドを介すると掻痒を促進する。慢性腎不全や慢性肝不全ではこれに対してナルフラフィン(レミッチ®)を使用すると掻痒がとれるが,適応疾患が限られ,高価。
神経の掻痒なのだから神経にアプローチしてみる。抗うつ薬や抗不安薬を用いることもあるようだ。抗うつ薬は三環系,SNRIなどがあるが,SSRIであるパロキセチン,NaSSAであるミルタザピンなども使われるようであるが,PHNにも用いられるトリプタノールやサインバルタが使いやすいかもしれない。もちろん副作用と保険適応外が気になるが。
より神経障害性疼痛に使う薬といえばプレガバリン(リリカ®),ミロガバリン(タリージェ®),安全性の面からはノイロトロピンは使いやすい。
【シクロスポリン】
以前より重度のADに使うので使いやすい薬剤としてシクロスポリン(ネオーラル®)があるが,この薬剤は特に掻痒を抑える効果も実感する。高血圧や腎障害などに注意しながら,1日1回100mg投与で効果を実感することもあるので使いやすい薬剤ではある。
Th2サイトカインに関連する抗体製剤がこれまたよく効いたりする。
【duplimab(デュピクセント®)】
ADに使われIL-4, 13を抑えるのだが,掻痒に聞くし,何より痒疹結節に効くので難治な多形痒疹に使いたいところではあるが,3割負担で注射1本約2万,初月6万,以降約4万と高価なのがネック。
【nemolizumab】
IL-31の抗体製剤であるので,より掻痒に特化して効きそうなイメージはあるが,適応疾患が今のところ・・・
【JAK阻害薬】
IL-4, 13にも関与するのでJAKはデュピクセントと同様に効果があるし内服でも用いることができる。もちろん,値段がネックだが。デルゴシチニブ,内服はバリシチニブ,ウパダシチニブがある。
【痒疹】
痒疹結節を伴うような難治な湿疹のイメージであるが,この痒疹結節の治療がなかなかうまくいかない。ネオーラルが結構有効であるが,全身にある場合にはデュピクセントが使えたらなぁ。
【多形慢性痒疹】
痒疹の中でも時々浮腫性紅斑を伴い,10%くらいの好酸球増加があったり,よくわからない症例を多型慢性痒疹としてしまうが,これがまた難治。特に好酸球増加を伴い浮腫性紅斑を呈する場合は明らかに普通の湿疹とは違う。PSLが有効で5~10mgでスッとよくなることも経験するが,中止すると悪化するし原因もわからないでダラダラと続くのが嫌なところ・・・。