【ペニシリン】
抗生剤のお勉強。ペニシリンは正直あまり使わないので,あえてペニシリンをお勉強
ペニシリンはβラクタム。βラクタムといえばペニシリン,セファロスポリン,カルバペネム。
化学式では炭素3つと窒素1つのワッカがβラクタム環。このβラクタム環が殺菌効果を司る。
ペニシリンは細菌のペニシリン結合タンパク penicillin binding protein (PBP)にくっつく。PBPにペニシリンがくっつくとPBPは細胞壁を作らなくなる。細胞壁が作られなくなると最近は自ら崩壊して死ぬ。
PBPにも多くの種類があり,PBP2aはMRSAの原因になる。
【βラクタマーゼ】
昔は黄色ブドウ球菌にペニシリンが効いていたのに,βラクタマーゼを作るようになったため効かなくなってきた。
ペニシリンはたいていの嫌気性菌に効くのに,お腹の中の嫌気性菌で一番のBacteroides fragilisに効き目があまりないのは,B. fragilisがβラクタマーゼを作るようになったから。
βラクタマーゼはPBPの一種であり,ペニシリンに結合する。βラクタマーゼはペニシリンを壊してしまう酵素。
【ペニシリンGの使い方】
ペニシリンGは溶連菌感染,感受性のある肺炎球菌感染,緑色レンサ球菌,一部のブドウ球菌,嫌気性グラム陽性菌の多く,髄膜炎菌などナイセリアの一部,ごく一部のグラム陰性菌,梅毒などのスピロヘータに有効。
1.溶連菌
(A)GAS
A群溶連菌 Streptococcus pyogenes, group A streptococcus: GAS
急性咽頭炎,丹毒,蜂窩織炎,壊死性筋膜炎,トキシックショック症候群,リウマチ熱,糸球体腎炎などを起こす。
GASはほぼ100%ペニシリンに感受性あり。
GASによる壊死性筋膜炎は毒素産生を抑えるためにペニシリンに加えてクリンダマイシンを加える。
クリンダマイシンはリボソームN作用するためタンパク合成を阻害する。単に殺菌するペニシリンに加えて毒素産生を抑える。
(B)GBS
Group B streptococcus (GBS S. agalactiae)
消化管や膣などに常在。糖尿病患者や高齢者など,敗血症,糖尿病足感染,髄膜炎など。GASと違い,ときどきペニシリン耐性菌が存在。
(C)その他